永井希望さん 宗次德二特待奨学生第6期生

この度は、2019年度宗次德二特待奨学生(6期生)として僕をお選びいただき、ありがとうございます。宗次德二様をはじめとする関係者皆様に、感謝を申し上げます。

今のところ、4月から始まった怒涛の大学生活にヘトヘトになっていますが……吸収できることはどんどん吸収していきたいと思ってます。

この世は、憎悪と残虐とに満ち溢れ、人類は他者の権利を蹂躙してそれを貪り食いながら生き長らえようと藻搔き、過ちを犯し続け、自滅の道へと進んでいます。いくら文学が警鐘を鳴らしても、いくら藝術が人類を立ち返らせようとしても、彼らは聞く耳を持たず、地獄を自ら生み出しています。

しかし、その無知と悲惨との中から私達を救い出してくれるのが、音楽です。

しん・・の音楽とはそれそのものが美であり、演奏者、聴衆を必要としません。しん・・の音楽を聴いたとき、そこには、聴衆も演奏者も、ホール、楽器、テクニック、ミスタッチも、そして作曲家さえもなく、ただ音楽の世界に支配されるのみです。それに触れると、人類は今までの記憶から、最も苦しかった、最も幸せだった、自分の人生が見えてきては、自然と目頭が熱くなる。その瞬間を求めては、人々はコンサートへ足を運び、その瞬間を味わい、共有したいが為、我々は日々練習するのです。

僕は、なりたい。

僕は、ピアノが弾けるピアニストでも、音楽を鳴らすミュージシャンでも無く、しん・・の音楽という天上の藝術の下僕―アーティスト―になりたい。

最後に宗次德ニ様にもう一度心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 

音楽学部 器楽科(ピアノ) 1年
永井希望